いざ対決マッチ4 「洛中洛外図屏風 vs 江戸名所図屏風」
江戸時代になると世の中が安定し、いわゆる人々の日常生活を題材にした
「風俗画」が確立してきます。
日常生活の中の音や匂い、そういった臨場感がいかに感じられるか、が
風俗画の出来不出来に繋がると言われますが、今回の鑑賞のポイントは
「どの視点で見るか?」でした。
「洛中洛外図屏風」は”京都”の街中を描いたもの。
「江戸名所図屏風」は”江戸”の街中を描いたもの。
同じ街中の日常生活が描かれていますが、その目的が全く違う、つまり
画家の「視点」が違う、ということがじっくり絵を見ていくとよくわかるのです。
このようにただ画面を眺めるだけでは見えてこない見方で、作品ごとの目的や
絵師の立場も含めて鑑賞すると、そこには目には見えないけど確かに表現されている
”何か”を掴める。
これこそ、絵画鑑賞の本当に醍醐味と言えるでしょう。