江戸時代の風俗画は安定した世の中という社会とともに変化をしていきます。
何気無い日常生活の中でもより享楽的な部分が画面に登場することが多くなり、
さらに時代が進むと、それは性的な場面、例えば遊郭などに出入りする貴族など、
人々が「不健全」と思われる部分を表現することが見え隠れしてきます。
その代表的な作品が「舟木本洛中洛外図屏風」。
従来の洛中洛外図よりグッと焦点を絞って京都の街中が描かれ、それにより人々の
サイズが大きくなることによって表情がより生き生きと表現でき、人間性の表現が
豊かになるのです。
さらに風俗画が進むと、人間の心理的な側面を表した絵画が登場してきます。
例えば遊郭の恋愛の場面。
それがまさに「彦根屏風」なのです。
登場人物15名。全体に暗く、倦怠感が漂う、非常に謎の多い絵画です。
そしてこの絵の謎解きをしていくにあたって、皆様の「不健全さ」に対する許容度を
測る物差しになるとおっしゃる黒田先生。
健全なだけな世の中ではない、自分の中で処理できる不健全さ。
さぁ、2回に渡っての連続講義で皆様はどれだけ不健全さを受け入れできたでしょうか?
次回も楽しみです!